この記事では、転校をきっかけに子供が別人のように輝き出す可能性があることと、その可能性を引き出すために効果的な働きかけについてお話ししていきます。
小学校入学、転校、中学入学を経験した我が子のエピソードも交えていきたいと思います。
子供のために
親としてできることって何だろう?
友達との別れ・ゼロからの友達作り・自分の居場所の模索・・・転校はマイナスばかりではない!
『なりたかった自分』になれるチャンス
みなさんは引っ越しが決まってすぐに子供に伝えられましたか?
いつかこの日が来ると覚悟していたにも関わらず、子供が楽しそうに学校の話をしたり友達と遊んでいるのを見ているとすぐに言い出せなかった経験が私にはあります。
子供の悲しい顔は親として耐えられないものがありますからね。
しかしその先には、今以上に成長し輝いた子供の姿が見られるかもしれませんよ。壁を乗り越えた先に待っているものとは?
転校が子供に与える影響
マイナス面
子供にとって一番辛いのは友達との別れではないでしょうか。毎日当たり前に学校でも放課後でも遊んでいた友達と急に会えなくなることは、子供にとって大切な居場所を失うことと同じで大きな悲しみと言えます。そして悲しみの先にやってくるのは、選択肢さえ与えず自分の都合で勝手に引っ越しを決めた親への怒り、反発、そして理不尽さです。どんなに反抗しようとも、転校以外の道が自分にはないことを悟り子供は諦めるのです。
そしてようやく、少しのワクワクと共に未来へと目を向けます。『新しいお家は?新しい学校は?』と同時にやってくる不安、『友達できるかな?』『関西弁でも大丈夫かな』・・・小さな不安から大きな不安まで沸々と引っ越した後までずっと毎日付きまとってくる不安の影。
このように、転校は子供たちにストレスを与え続けます。今まで築き上げてきたものを全てなくしてまた一から作り直すのですから、大人は子供に与えた理不尽な試練について深く考える必要があります。
プラス面
マイナス面ばかりが目立つ転校ですが、実は大きなプラスを子供たちにもたらしてくれます。自分を知る人がいない世界に飛びこむ経験は、大人になってからは珍しいことではないかも知れませんが、子供の感覚ではおそらく、自分を取り巻く世界が別世界になるわけですから、ある種特殊な経験と言えるのではないでしょうか。
初めは緊張と不安・疑心暗鬼で周りの様子を伺っているかもしれませんが、新しい世界に溶け込むためには「待ちの姿勢」でいてはダメだと気づきます。そこで、自ら動いて自分の考えを周りと擦り合わせながら徐々に馴染み子供は積極性・柔軟性・順応性を身につけることになります。また、同時にどのような声かけや態度が受け入れられやすいか、どうしたらもっと仲良くなれるのかを自然と学びコミュニケーション能力がアップしていきます。
このように、さまざまな人との出会いは子供の潜在的な可能性や能力を伸ばすことにつながり結果的には子供の飛躍的な成長となるわけです。
また、これらの経験を通し、自ずと親子の会話が増えることでしょうし、その効果的な声かけやコミュニケーションについてはさらに次でお話していきます。
マイナスをプラスに変えるために押さえておきたいポイント4つ
転校は早く伝える
マイナス面でもお話しした通り、子供は転校により大きな悲しみと怒りを感じ、その気持ちを消化するには時間を要します。子供たちのキャラクターや置かれている環境によってショックの大きさと必要な時間は様々ですが、はっきり言えるのはその時間は多く準備してあげるべきだということです。切り替えの早い子であれば次の段階へ心の準備が始まるわけですし、のんびりした子には、その子のペースで受け入れていく時間を用意してあげるべきです。
子供を悲しませたくないから伝えるのを引き伸ばすのは親の言い訳でしかありません。子供のことを思うならばこそ、1日も早く伝えてあげてください。
気持ちは親も子も同じ
転校による影響とここまで話してきましたが、慣れ親しんだ街と友達との別れは私たち大人も同じですよね。別れのたびに悲しくて新しい居場所を求めて努力するのは大人も子供も同じではないでしょうか。大人だからと言ってその気持ちを隠す必要はありませんしピンチな状況の気持ちを親子で共有することは互いに心強く励まされるものです。互いに掛け合う言葉は自分自身に言い聞かせる言葉になりより早い気持ちの整理につながると言えます。
また、このような気持ちの表出は入浴時によく聞かれます。ホッとして気持ちの鍵が開きやすくなるお風呂タイムは貴重な親子のコミュニケーションの時間です。YES・NOの質問ではなく「〜はどう?」とゆっくりと待って聞いてあげてください。時間がかかってのぼせそうになっても我慢!我慢!子供がポツポツと話し出すまで根気良く待ちましょう。
親も積極的に学校に参加すべし
気持ちの共有に続きますが、同じピンチであるならば子供ばかり頑張るのではなく大人も頑張るべきですよね。しかし、大人の方が新たな出会いや人間関係を築いていくのは難しいと言えるのではないでしょうか。事実、私も引っ越しのたびにその経験をしてきましたが、すでに出来上がっているコミュニティの中に入るのはそう簡単ではありません。
その手段の一つとしてお薦めするのはPTA活動への参加です。そこで出会う方々から学校の情報を得ることもできますし、活動のたびに学校に足を運ぶことが子供の安心につながります。大変なことも多々ありますが、親が頑張っている姿を子供は見ています。そんな背中を見せてあげてください。きっと励まされるはずです。
リフレーミング
「リフレーミング」をご存知でしょうか。子供が幼稚園の頃、講演で聞いて目から鱗だった考え方だったのですが、物事の捉え方を違う枠組みで見直すことで異なる考え方にシフトチェンジできるものです。例えば、「わがまま」は短所に感じますが、別の枠で捉えると、「自分の意見を持っている」「自分の意見をはっきり言える」と長所と捉えることができます。
これを転校によってマイナスに子供が感じていることに適用します。
まずは悲しみ、不安、緊張などのマイナスな子供の気持ちを受け入れた上で、「こんな風にも考えることができるよ」と、別の枠の存在を教えてあげてください。その子その子かかる時間は違うでしょうが、気持ちのベクトルが変化するきっかけになりますよ。
我が家の場合
うちの長女は、教室の片隅で1人で本を読んでいる子供でした。友達と関わることが嫌なわけではないけれど、嫌な思いをしなくて済むには自分の殻に閉じこもって1人でいることが身を守る最善だと思っていたからでした。心から友達と呼べる人は片手で数えるには十分でした。しかし、転校をきっかけに彼女は大きな成長を遂げました。
転校が決まったとき、気が強く活発で友達も多かった次女はとても大きなショックを受け、受け入れに時間がかかりました。一方、長女はショックを受けつつも、受け入れが早くどことなくワクワクしているようにも見えました。幼稚園児だった末っ子は、状況を理解しきれていないようでしたが、友達と公園で遊べなくなるのが嫌だと言っていたように思います。三者三様の反応でしたが、転校後もそれぞれ違っていました。
次女はなかなか新しい学校に馴染めず、前の学校や友達を引きずっていました。「気が強い自分を出したら受け入れてもらえないんじゃないか?」そんな不安のせいで「静かな人」を演じる時間も長かったようですが、自分の意見をしっかり持つ事の大切さを感じ、徐々に自分を表出して行けたようです。時間はかかったものの、元来社交的で人気者であった彼女はこの経験を通してさらに人との付き合い方について多くを身につけることができ、自分の短所を長所と捉え直したり、より長所に目を向けることに成功したように思います。
心配の種だった長女ですが、彼女はリフレーミングの効果が一番あったように思います。「誰も自分を知らないからこそなりたかった自分になれる」という言葉通り、結果的に彼女は別人のように生まれ変わり、今ではたくさんの友達と毎日楽しく過ごしています。そして、自分で自分が頑張ったことやコミュニケーション能力が上がったことを誇らしげに語ることが多くなり、確実に自己肯定感のアップにつながったと感じます。
末っ子は、幼かったのもあり一番順応が早かったように思います。幼い時は、受け入れる側もオープンなので馴染むのにはそれほど時間はかかりません。また、男の子の場合、女の子と比較するとよりオープンで入りやすいような印象を受けました。
まとめ
最近流行りの「異世界転生」とまでは言いませんが、転校は違う世界に違う人間として生まれ変わることのできるチャンスと言えます。これは、今までの自分を否定するのではなく、これまで短所と思っていたものを長所として捉えるきっかけになり、長所は長所としてさらに伸ばすことになり、人として一段と成長することができるという事です。
どんなピンチもチャンスになりうることを、私たち大人がまずは信じて実行することから始まると思います。子供の気持ちをしっかり受け止めながらも、プラスへの変換作業をしてあげることが私たち親のしてあげられる事ではないでしょうか。
子供たちのお手本になるために、まずは自分が自分のベクトルをプラスへ向けられるように努力を続けることが全ての一歩なのかなと思っています。
ほこ猫
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